こんにちは!京王井の頭線浜田山駅近くにある本格的なフリーウェイト特化型ジム、パワーフィットスタジオZEROの濱田銀河です!
東京都内でパワーリフティング練習もできるコスパの良いフィットネスジムにもなります。
今回は筆者が実際に指導を行なっていく際にどのように動きを見て、どのように修正するかの1例を筆者自身を題材にしてケーススタディーのような形でみなさんに共有していこうと思います。
動きの見方、修正の方法には様々なものがありますが、ここで共有するもの以外にもこんな見方があるよ!こんな修正法があるよ!という方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください!みんなで考えてブラッシュアップしていきましょう!
主訴(主訴)は何か?
主訴とはクライアント(お客さん)がトレーナーに対して訴える主要な症状のことをいいます。
今回の私の主訴は「デッドリフトの際(特に高重量)に左手がグリップアウトしてしまう」です。
パワーリフティングを始めて2年ほどは気にならなかったのですが、記録が240kgを超えてきたあたりから顕著にこの症状が現れました。
グリップアウトはバーに回転する力が生まれた時に起こりやすくなると言われています。
筆者が採用しているオルタネイトグリップはこの回転する力が生まれづらいといわれていますが、筆者の場合、何かしらの要因でこの回転する力が生まれているのではと予測していました。
当初は単純に考えられる要因として
・左手の握力が弱い
・ショルダーパッキングが甘い(肩甲骨を内転+下制させ、安定させること)
と考えていましたが、握力はむしろ左の方が強いこと、ショルダーパッキングを意識していても改善がみられないことから、これらは根本的な原因ではないと考えるようになりました。
実際の動作はどうなのか?
兎にも角にも実際の動作を見なければわからないので見てみましょう!
みなさんはこの動きを見てどう感じたでしょうか?
私はバーが右側に比べて左側が遅れてくるように見えました(特に3レップ目が顕著)
(特にプレートの浮き具合の左右差を見ると一目瞭然なのではないでしょうか)
この左右差によってバーに回転力が生まれ、左手のグリップアウトが起こっているのではと考えられます。
根本原因はどこにある?
それでは、この場合どこに根本原因がありそうでしょうか?
結論から言うと筆者はこの画像から左脚側に原因があるのではと考えました。
(この画角からのみの情報のため、他の要因もある可能性はもちろんあります)
画像の足部に注目してください。
右足部と比較して左足部は、土踏まずが潰れるように内側に倒れている(回内)ように見えます。
足部の回内が起こると、運動連鎖により脛骨(すね)や太もも(大腿骨)内側にねじれ(内旋)ていきます。
つまり、左側が足部からの運動連鎖で股関節の内旋が起こっているのです。
このワイドスタンスのデッドリフトにおいて股関節の内旋が正しいか否かは、特に主動筋となる大臀筋に着目すると良いでしょう。
出典:https://kimitsu-iron.jp/media/daidenkin-training
画像の薄いピンク色の部分が大臀筋になります。
機能解剖学的には大臀筋の作用は股関節の伸展と外旋(外に捻る)といわれています。
しかし、今回のケースでは大臀筋には股関節の内旋作用はないのに左脚で内旋してる…
そうです。みなさんお気づきの通り、あろうことか左脚は主動筋である大臀筋を使えてない可能性があるということです!
これらをまとめると
左の股関節の内旋=大臀筋が使えてない→左側はバーに力がかからない→右側との左右差が生まれグリップアウトしたのでは?
という仮説が立てられます。
したがって、左の股関節が内旋してしまっていることがデッドリフトのグリップアウトの根本原因であると考えられます。
動作修正の考え方
それでは、この「左股関節の内旋」という問題に対してどのようにアプローチをしていくかを考えていきましょう。
動作の修正はエラーが起こっている方向と逆にアプローチすることが基本であるため、いかに「左股関節の外旋」をさせるかに焦点を当てると良いでしょう。
ここで考えられる修正方法は大きく以下の2つが考えられるでしょう
①デッドリフトを行う際に股関節の外旋を意識的に行う
②デッドリフト以外のエクササイズで股関節外旋機能を高めた後にデッドリフトを行う
みなさんなら、どちらの方法を選ぶでしょうか?
筆者は②を選びました。
理由はできていない動きを立位の高負荷で行うのは非常に難易度が高いためです。
エクササイズの難易度は大きく分けると
臥位(寝た状態)→立位(立った状態)→動きに外部負荷がかかった状態の順に難易度が高くなります。
ここで①の方法をとってしまうと一番難易度が高い状況でできてないことを意識することになるため、基礎をすっ飛ばして応用をやろうとしていることになります。
当然、動作の修正は達成しづらくなります。
したがって、動作の修正を行う場合はこの順に目的とする動き(この場合は股関節外旋)ができているかを確認しながらトレーニングし、段々と難易度を高めていくことで自然と正しい動きが出るようになると考えられます。
まとめると、動作の修正を行う場合は難易度が低いものから徐々に上げていき、最終的には無意識でどんな状況でもできるようにすることが理想的になります。
どう修正したか?
以上の考えを踏まえた上で筆者は臥位(寝た状態)の股関節外旋エクササイズであるベントニーサイドライイングクラム(BKSC)というエクササイズを行いました。
本来であれば、この後に立位での股関節外旋エクササイズを行なってから重りを持ったデッドリフトに移りたいところでしたが、セット間休憩の際に修正を行なったため、時間の都合上そのまま次のセットに移りました。
改善されたか?
それでは、実際に修正できたのか?
BKSCで股関節外旋機能を活性化させた後のデッドリフトを見てみましょう。
(セッション内の種目のバリエーションが変わるタイミングで、修正を行なったため、種目がやや違うところはご容赦ください)
いかがでしょう?
左股関節の内旋のエラーが改善されてるように見えますね!
念の為、静止画でも見てみましょう。
問題点として挙げていた
・左足部の回内
・左股関節の内旋
・バーの浮きの左右差
がそれぞれ改善しているのがわかりますね!
今後の展望/まとめ
いかがでしたか?
今回はグリップアウトの原因として考えられる左股関節内旋のエラーに対して、ベントニーサイドライイングクラム(臥位の股関節外旋)で修正した1例を示しました。
実はこれにより本当に修正されたかどうかは、まだ議論の余地があります。
バンドデッドリフトのバンドのつけ方的に、足部の小指側でバンドを踏む感覚が得やすい付け方であったため、足部が回外(外に倒れる)し、運動連鎖によって股関節外旋がなされた可能性があります。
また、最終的には主訴である高負荷条件で素手でのデッドリフトを行なった場合にグリップアウトをしないようになるかを検証する必要があります。
さらに、今回の動作修正は斜め前からの情報のみから動きを評価して行なっています。
しかし、人の動きは3Dであるため違う角度から見るとまた違うエラーが起こっている可能性があります。
したがって、他の方向からも体を評価してアプローチをすることで真に根本改善がもたらされるのではと考えられます。
これらを踏まえた上で今後は
・バンド無しのデッドリフトでエラー動作(左の股関節内旋)が出ないかの確認
・エラー動作が出た場合は、股関節外旋エクササイズを立位→立位で外部負荷がある状態(デッドリフトの低重量→高重量)でできるようにトレーニング
・違う角度から身体を見て再度評価&修正
を行いながら高重量のデッドリフトでグリップアウトしないか経過をみると良いでしょう!
ちなみに、立位での股関節外旋エクササイズを紹介していなかったのでここで1例を紹介しておきます。
最後に筆者のコンディショニングについての考えに興味があるという方はこちらも合わせて読んでいたでけると幸いです。
以上になります!
当パワーフィットスタジオZEROでは、他のフィットネスジムよりもフリーウェイトに特化したフィットネスジムであり、トレーニング中級者以上の満足度の高い良いトレーニング環境となるでしょう!
あと、パーソナルトレーニング指導もしておりますので、スクワット、ベンチプレス、デットリフトをしっかりと学びつつ、他のダンベルやマシン種目なども学んでボディメイクもしたい方にもおススメです。
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