こんにちは!京王井の頭線浜田山駅近くにある本格的なフリーウェイト特化型ジム、パワーフィットスタジオZEROの濱田銀河です!
東京都内でパワーリフティング練習もできるコスパの良いフィットネスジムにもなります。

今年は、東京都主催のパワーリフティングおよびベンチプレスの大会が多いですね!
大会が近づくにつれて、ジム内でも様々なトレーニング談義が交わされています。
今回はその中でも、度々聞こえてくるピーキングについて書いていこうかと思います。

ピーキングは様々な競技スポーツで実施されており、当ジムのパワーリフターの多くが試合に向けてピーキングをしていると思います。
この、ピーキングという言葉は非常にキャッチーで使いやすい反面、いまいち言葉の理解がされていない印象があるので、この記事でざっくりと理解して頂けたらと思います。

ピーキングとは

大会が近づいてくるとジムの中では、「いつからピーキングする?」「今週からピーキング入りました」などの声が聞かれます。
しかし、このピーキングの定義をご存知でしょうか?

ピーキングの定義は

“目標とする試合でベストなパフォーマンスを発揮することができるようにコンディションを調整していき、コンディションのピークを試合の日にもってくること”

になります。

この定義からすると、試合でピークをもってくるために行う全ての行動がピーキングであるといえます。

ピーキングの戦略

先ほど、試合でピークを持ってくるために行う全ての行動がピーキングであると言いましたが、ここでスポーツの現場で多く活用されている戦略を挙げていきます。

トレーニング

スポーツにおいて自身の能力を向上させるにはトレーニングを行う必要があります。

パワーリフティング


パワーリフティングを例にすると、目標とする試合でスクワット、ベンチプレス、デッドリフトの最大筋力がピークになるように、約80%1RM以上の高負荷を扱ってトレーニングを行います。

このトレーニングを行う中で、試合にピークを作る戦略として最も用いられているのがテーパリングになります。
テーパリングについての説明は以降に行なっていきます。

栄養

続いて、栄養です。
今回は詳しい説明は省きますが、栄養は身体にとってのガソリンの役割を担っています。
ガソリンがなければ、どんなに優れたエンジンや車体を持っていても高いパフォーマンスは発揮できません。


筋力・パワー系アスリートにとってよく用いられている栄養戦略としてはクレアチンやカーボ(炭水化物)のローディングでしょう。

クレアチンは主に瞬発的な筋力発揮のエネルギーに(特にパワーリフティングやスプリントなど)、炭水化物は筋グリコーゲンと呼ばれる筋肉を動かすためのエネルギーに使用されるため、試合までにあらかじめこれらの栄養を貯蔵しておくことで、高いパフォーマンスを維持することができます。

心理的

最後に、心理的な戦略です。
練習の際に良いパフォーマンスが発揮できていても、本番で発揮できなければ意味がありません(ことアスリートに限っては)

普段とは違う場所、観衆、シチュエーション等の環境が変化すると心理的な不安や迷いが生まれ、パフォーマンスが低下する恐れがあります。

ラグビー五郎丸選手のルーティン動画

これに対処する方法として有名で有用な戦略としては、ルーティンがあるでしょう。
ルーティンは、自分があるプレーをする際に決まった行動パターンを作ることで、プレーの再現性を高めるテクニックの一つであり、特にパワーリフティングでは有効な手法の一つでしょう。

テーパリングとは?

さて、ここからはピーキングのためのトレーニングの戦略としてテーパリングについて説明していきたいと思います。

テーパリングとは、目標とする試合までに徐々にトレーニングの負荷(強度、ボリューム、頻度)を減らしていくことです。
こうすることで、疲労が抜けてパフォーマンスを最大化することができます。

ここで、重要なのが徐々にトレーニングの量を減らしていくことです。
よくある間違いなパターンとして、試合前の一週間は疲労を抜くために全くトレーニングをしないというものがあります。

特にパワーリフティングの場合には、トレーニングの種目自体が競技種目になります。
パワーリフティングも記録を左右する要素として、スキルがあることは以前の記事で紹介しましたが、全くトレーニングをしないとなると筋肉の疲労は抜けても、重さを挙げるスキルが低下してしまう恐れがあります。

テーパリングのガイドライン

テーパリングの意味についてはなんとなく理解できたが、実際にどのように行えばいいかわからないという方向けに抑えておくべきポイントを紹介します。

①強度を維持する・・・トレーニングで扱う重量を落とさないこと

②ボリュームを40〜60%減らす・・・ボリューム(重量×回数×セット数)であり、重量は原則落とさないため、回数やセット数でボリュームを減らしていく

③頻度を維持する・・・トレーニングセッションの頻度を維持することです。遠征だと多少減ることはあるかもしれないですが極力保ちましょう

④テーパリング期間は8~14日間・・・パワーリフティングの場合は種目にもよります。スクワットとデッドリフトはやや長め、ベンチプレスは短めにすると良いでしょう。

⑤トレーニングの量を減らすペースは徐々に

となります。
これらのガイドラインに沿ってテーパリングを行うことで、自身のポテンシャルを最大限に発揮することができるでしょう。

パワーリフティングで結果を出すためのテーパリングは?

当ジムのブログを読んでくださっている方々はパワーリフティングを行なっている方々が多いと思いますので、ここでもう少し掘り下げていくために参考になるレビュー論文を紹介しつつ説明をしていきたいと思います。

本題に入る前に、押さえて欲しい主要なテーパリングモデルの説明をしていこうと思います

主要なテーパリングモデル

ステップテーパリング

ステップテーパーはトレーニングは総ボリューム{重量(kg)×回数×セット数)を急に一定量減少させるテーパリングモデルと定義されています。

↑ステップテーパリングのイメージ

指数関数的テーパリング

指数関数的テーパリングは、総ボリュームを弧を描くように減少させていくテーパリングモデルであり(60%減少→40%など)、遅いもしくは速いものがあります。

↑遅い指数関数的テーパリングのイメージ

↑速い指数関数的テーパリングのイメージ

線形テーパリング

線型テーパリングは指数関数的テーパリングと比較して、高い総ボリュームを行った後に、総ボリュームを線型に減少させていくテーパリングモデルと定義されています。

↑線形テーパリングのイメージ

番外編:トレーニングの停止

トレーニングの停止は、文字通りトレーニングを全く行わないということになります。

パワーリフターのテーパリングにおける要点と用いるべきテーパリングモデル

それでは、本題に入って参ります。
パワーリフターにとってのテーパリングの要点と用いるべきテーパリングモデルについて参考になるレビューを紹介しようと思います。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32917000

このレビューでは、

テーパリングの効果については、パワーリフター、ウエイトリフター、投擲選手、筋力トレーニングを受けた者を対象にスクワット、ベンチプレス、アイソメトリックベンチプレスのパフォーマンスに対して検討した7つの研究が分析されました。強度は維持もしくは8.5~25%減少、または5.9%増加しており、総ボリュームは全ての研究で31.6~71.9%の間で減少されていました。
パフォーマンスへの効果としては、スクワットで1.7~9.5%、2.0~14.8kgの向上、ベンチプレスでは1.4~6.4%、1.3~8.1kgの向上がみられたと報告されています。

トレーニングの停止については、パワーリフター、陸上選手、アメフト選手、ストロングマン、筋力トレーニングを受けた者を対象にした9つの研究が分析されました。
停止期間は2~14日実施され、パフォーマンスへの効果としてスクワットで1.7~4.9%、2.0~5.5kgの向上、ベンチプレスでは1.4~4.9%、1.3~5.5kgの向上がみられました。
また、14日のトレーニングの停止はスクワットで0.9%(ES=0.05)、ベンチプレスで-1.7%(ES=0.12)とパフォーマンスの低下を招いたと報告されています。

パワーリフティングを対象にした研究については6つあり、指数関数的テーパー、ステップテーパー、線形テーパーが用いられており、総ボリュームの減少は31.6~67.0%の範囲内で7~28日間行われており、スクワットで2.3~5.9%、3.6~14.5kgの向上、ベンチプレスでは1.8~6.4%、2.3~8.1kgの向上、デッドリフトでは3.8~4.8%、8.6~9.1kgの向上がみられたと報告されています。

これらの結果から、

・テーパリングおよびトレーニングの停止はパワーリフティングパフォーマンスの向上に有効である。
・総ボリュームの減少は31.6~71.9%の間で行う
・トレーニング強度は維持もしくはやや減少(8.5~25%)させる
・テーパリング期間は14~28日の範囲内が有効である
・トレーニングの停止が14日に至るとパフォーマンスが低下してしま

ということができると思います。

さらに、本文中の考察においては

・テーパリングで最も重要なのは総ボリュームの減少量である可能性が主張されており、最低でも30%以上の減少を用いるべき
・テーパリングの前に総ボリュームをあえて増やしオーバーリーチのを起こす場合は70%未満の大幅な減少が推奨される
・テーパリングモデルに関しては、Bosquatら(2007)によるメタ分析からステップテーパーが最大筋力の維持・向上に他のモデルよりも好ましいと報告されていることから、ステップテーパーがパワーリフティングには優れている

と主張されています。

結局どうすればいいの?

このレビューの結果を元に大体の方はこのようにやれば外さないだろうというガイドラインを提案したいと思います。

・大会の2週間前から総ボリュームを30~50%減らしていく
・テーパリングモデルはステップテーパリングモデル
・強度は維持し、各種目最後のトレーニングセッションでは10~20%強度を落とす

というものから、始めてみると良いと思います!

まとめ

いかがでしたか?今回はピーキングについての定義や戦略の種類、トレーニング戦略についての大枠を話していきました。

最後に、本ブログでは大体のガイドラインを示しましたが、パフォーマンスを最大限発揮するために有効なテーパリングの方法は、対象者の前提条件によって変数の組み合わせが異なりますので、お近くの指導者に依頼するのをオススメします!

参考図書

河森直紀.ピーキングのためのテーパリング.NAPlimited,2018

以上になります!
当パワーフィットスタジオZEROでは、他のフィットネスジムよりもフリーウェイトに特化したフィットネスジムであり、トレーニング中級者以上の満足度の高い良いトレーニング環境となるでしょう!
あと、パーソナルトレーニング指導もしておりますので、スクワット、ベンチプレス、デットリフトをしっかりと学びつつ、他のダンベルやマシン種目なども学んでボディメイクもしたい方にもおススメです。

49歳喜多様、5ヶ月間で体重-12kg、体脂肪率-16.2%、ウェスト-25.5cm!

佐々木様、4ヶ月間で劇的ビフォーアフター!そしてボディメイク大会のフィジークへ参戦。

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