京王井の頭線浜田山駅近くにある本格的なフリーウェイト特化型ジム、パワーフィットスタジオZEROの義田です。

私事ですが2022年9月24日の秋季東京都パワーリフティング大会に優勝しました!

パワーリフティング
83㎏級での優勝になります♡

今回はパワーリフターである筆者が機能解剖学、運動生理学、実践経験の観点から、スクワットの悩みに関する質問に答える回となります。

スクワットに関する質問

スクワットはトレーニングの基本的な種目です。
ダイエットを実施する上で、脚のトレーニングの重要性をよく説かれますが、スクワットこそダイエットに最適な種目です。
バーベルを担ぐことで、脚周りだけでなく体幹部も使われるので動員される筋肉や運動量が多いのです。
スクワットはキングオブトレーニングとも言われ、ダイエットのみにとどまらず健康増進、スポーツのためのフィジカル強化、スタミナ強化など様々な良い影響を与えます。

ローバースクワット
スクワットはポステリアチェーン(身体の背面の筋肉の運動連鎖)を鍛えられることも強みです。

しかしながら、スクワットはしんどい/難しい/怖いといったネガティブな印象もあります。
この質問形式コーナーで、スクワットに対する疑問を解消して、スクワットをトレーニングライフに組み込んで参りましょう!

Q1.スクワットが嫌いでやっていません…

トレーニング歴2年目になりますが、スクワットが嫌いで全くやっていません。
そもそもスクワットの怪我のリスクが怖くて出来ません・・・。

A1.まず追い込む前にフォーム練習をしよう

スクワット実施のハードルは確かに高いですよね…
スクワットを嫌いになってしまう大半の理由が、フォームが固まっていないのに追い込んでしまうことです。
ボクシングで例えると、ガードやフットワークを知らないで全力の殴り合いをするくらい危険で無謀なことです。

ボクシング
基礎ができた上で追い込みましょう!

スクワットやベンチプレス、デットリフトなど動作において複数の関節が関与する、難度の高い多関節運動においては慣れるまで追い込む必要はないでしょう。
代わりにアームカール、サイドレイズなどの単関節種目は追い込んでもさほど問題にはならないでしょう。

まずは、フォームが固まるまでは比較的軽い重量から始めましょう。
フォームを意識して、10回3セットを余裕で実施できるくらいの負荷設定を推奨します。
1セット目はRIR5(15回は出来るくらいの重量設定で)で実施し、2〜3分間以上と十分なインターバルを入れて重量を変えずに3セット実施するストレートセットが良いでしょう。
10回もスクワットをすると息が上がってしんどい!という方は、まずはRIR4の6回(10回できる重量設定で)の3~4セットでも良いでしょう。
まずはスクワットに慣れて、スクワットとお友達になるところから始めましょう。
フォームについては次の項目で説明します。

Q2.スクワットをやると腰や膝が痛くなります

無理のない重量でスクワットを実施しているつもりですが、すぐに腰や膝に違和感が出てしまいます。
おそらくフォームが悪いと思いますが…

A2.股関節を使った動作(ヒップヒンジ)や腹圧が大切

正しいスクワット動作の動画になります↓

腰や膝に負担の掛かる例として、股関節が使えていないことと、腹圧が掛かっていないことがあげられます。
股関節が使えていない例は画像のように、初動でお尻を引かずに上体を立てて膝主導で動作していることです。

スクワット
膝主導のスクワット、膝関節が前方に出ている状態

この状態のスクワットではお尻への負荷が減り、膝や四頭筋に負荷が集中します。
膝が痛くなる要因にもなりますし、深くしゃがんだ際にバットウィンクが起こりやすくなり腰への負担も強くなります。

バットウィンク
バットウィンクの例、股関節の動き(=ヒップヒンジ)が出来なく、腰の丸まりを利用してしゃがんでいる状態。

画像のように適度にお尻を突き出して、やや上体が前傾した状態でしゃがめるとヒップヒンジが使えるので理想的です。

スクワット

ヒップヒンジをイメージしにくい方や、上手く出来ない方はこちらの動画を参考にしてください↓

腹圧は天然のコルセットとして働き、腰を保護してくれます。
(腰だけでなく骨盤の動きも安定するため、股関節の不調にもなりにくくなります。)
トレーニングベルトを装着していても、しっかりと呼吸をして腹圧をかけられていないとあまり意味をなしません。
息を吐き肋骨を締めた状態のまま、しっかりと息を吸い360°方向にお腹を膨らませるイメージで腹圧を掛けます
腹圧をかける呼吸法にはドローインとブレーシングの2種類ありますが、ドローイン(息を吐いて肋骨を締める)してからブレーシング(息を吸ってお腹を膨らませる)で背中側(後縦隔)まで意識するようなイメージで実施しましょう。

腹圧
後縦隔の場所
腹圧
腹圧の練習方法として、肋骨を両手で押さえて、息をしっかりと吐いてから肋骨を開かずにしっかりと吸う、というサイクルを繰り返します。息を吸ったときにお腹、胸のみならず背中まで膨らむと理想的です。

呼吸法としては、血圧など健康状態に問題がなければ、1レップ1レップ呼吸を止めるバルサルバ法がおすすめです。
酸欠を懸念される方は、動画のようにしゃがみの深い領域だけ息を止めると良いでしょう↓

Q3.スクワットで深さが入りません

頑張って深さを入れているつもりですが、深さが入りません。
柔軟性の問題でしょうか?

A3.お尻や足関節の柔軟性改善やフォームの改善で深くしゃがめるようになります

お尻が硬いと十分なヒップヒンジができなくて、深さが入りにくくなります。
また、足首が硬いとしゃがみ途中で踵が浮いてしまい、膝関節が前方へ出て深さが入りにくくなりますしバットウィンクが発生してしまいます。
その状態で無理して深さを入れようとすると、膝や腰を痛めてしまいます。
まずは、トレーニング前にお尻、股間周りの柔軟体操やアクティベーション種目を取り入れましょう

足首の硬さは柔軟体操やアクティベーション種目を実施しましょう

足首が硬くてしゃがみにくいときは、踵にプレートを敷くか、スクワットシューズを履いて踵を高くしてもしゃがみやすくなります。

スクワット
足首が硬くて、しゃがんだときに踵が浮いてしまっている状態
スクワット
踵にプレートを敷くと、踵でも床を踏めるため動作が安定します。

次項目で説明する踏み圧を意識すると、深さがより入りやすくなるでしょう。

Q4.高重量を扱えるスクワットの秘訣は?

パワーリフティングの選手は凄い高重量でスクワットをしていますね!
何か秘訣があるのでしょうか?

A4.担ぎ、腹圧、踏み圧の3種の神器が大切、次に強度管理や試合に向けてのピーキングです

先ほど説明したフォームや腹圧の要領はしっかりと抑えておきましょう。
次にフォームと関連することですが担ぎと踏み圧が大切になります。

担ぎが上手くいくか行かないかで、スクワット動作の良し悪しがはっきりと出でしまいます。
ポイントとしてはローバーの場合、無理矢理低い部分に担がず、肩と背中の間のくぼみに自然とハマる位置がありますのでそこに担ぎます。
その後に、首を長く保って肩甲骨を下げて、自然とバーベルの担ぎ位置が下がります。
この際に胸を張って、肋骨が開いて(リブフレア)しまうと腹圧が掛かりにくくなります。

リブフレア
肘が下がって肋骨を開いているリブフレアの状態、腹圧が掛かりにくくなります。

肋骨を締めた状態(リブダウン)をキープしたまま肩甲骨を下げましょう

スクワット
肋骨が開いていないリブダウンの状態(画像は首が前に倒れていますが、首はもう少し起こした方が良いです笑)。

端的にいうと、バーベルを担ぎにいくときに肘位置を下げずにそのまま身体を前進させるように担ぐと良いでしょう。

担ぎが上手くいくと、バーベルをラックから外す瞬間から「軽い!」という実感があるでしょう

腹圧、担ぎに関しましては中澤コーチの教えによるところが大きいです。
コーチング/プログラム作成をしていますので興味のある方は依頼してみてはいかがでしょうか?

https://linktr.ee/Goriza37

スクワットではバーベルを挙げる作用と、反作用として足裏にバーベルの重量が掛かります。
よって、バーベルの担ぎと同様に踏み圧の足裏感覚がとても大切になります。
まず、バーベルの軌道はミッドフット(土踏まず)の垂直上になることが大切です↓

スクワット
理想的なスクワットの重心

結果的にその位置にバーベルの軌道が来るように、しゃがみでは小指球側に圧を感じ、立ち上がりは母指球側に圧を感じるように立ちます

スクワット
しゃがみは1.の小指球に、立ち上がりは2.の母指球で踏むようにするべし。

よくニーインは良くないという意見を聞きますが、しゃがみに行く時のニーインは確かに良くないでしょう(膝関節への負担が掛かることと、深さが入りにくい)。
立ち上がり時に自然と内側に絞る動きは、股関節伸展に作用するため多少は出ても良いでしょう。
担ぎ、呼吸と腹圧、踏み圧がスクワットの極意と言えるでしょう。

次の項目でスクワットを伸ばす強度管理、ピーキングについて説明します。

Q5.スクワットを伸ばすプログラムは?

アドバイスしたことに沿ってスクワットの練習をしたら、どんどん10回3セットプログラムの重量が伸びてきました。
より挙上重量を伸ばすトレーニングプログラムはありますでしょうか?

A5.筋肥大期と筋力向上期を分けることと、フォームと挙上スピード重視で粘らないこと

論文ベースで筋肥大を狙う上で重要な要素としての優先順位は、
1.追い込む必要がある
2.ボリューム:1部位10レップ15セット以上/週 
3.トレーニング頻度:1部位を週3日
4.タンパク質量:体重×1.6g以上 
5.インターバル:60秒間以上

参考文献:Training for strength and hypertrophy: an evidence-based approach

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2468867319300513?via%3Dihub

具体的な内容としては、筋肥大期に10×3、もしくはボトムストップスクワット5×3といったプログラムが最適です。
週2回スクワットを実施する場合、day1に10×3、day2で同重量をボトムストップで5×3でも良いでしょう。
筋肥大期メニューでしたら怪我の無い範囲内で多少追い込んでも良いでしょう。
オススメの負荷設定は3セット目の残り2レップを粘るくらいの重量設定が丁度よく、1セット目はRIR2〜3くらいの重量設定(12〜13回できる重量で10回行う)で重さを変えずに3セット実施するのが、トータルボリュームの観点から丁度良いでしょう。
補助種目も筋肥大を狙う上で重要になり、Day1にブルガリアンスクワットを10回3セット、Day2にフロントスクワット(セーフティスクワット)orゴブレットスクワットを10回3セット、Day3は補強種目のみでマシントレーニング(レッグプレス、レッグエクステンション、レッグカールなど)を10回3セット、みたいな形で実施すると、論文で説明されている筋肥大の要件を満たすでしょう。

筋肥大期の10×3プログラムの詳細は過去記事「追い込むだけでは成長しない!?中級者以上のトレーニングプログラムについて」を参照してください。

https://power-fit-studio-zero.com/chx55119/intermediate-training-program/

その筋肥大期プログラムで停滞(2~3週間ほど重量が伸びない)を感じたら筋力向上期に移行しても良いでしょう。
パワーリフティング大会を目指すのであれば、試技45〜60日前に筋力向上期に移行するのも良いでしょう。

論文ベースで筋力向上を狙う上で重要な要素としての優先順位は、
1.特異性が大切(スクワットを伸ばすならスクワット重視のメニューをやる) 
2.1RM85%以上(6RM以内)でセットを組む 
3.ボリュームは1部位15セット 
4.タンパク質量は体重×1.6g以上 

5.インターバルは2~5分以上

参考文献:Training for strength and hypertrophy: an evidence-based approach

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2468867319300513?via%3Dihub

具体的な内容としては、補強種目を削ってでもスクワットのセットをなるべく多く実施します。
負荷設定としては5回5セットRIR1づつ(6回できる重量設定で、セットごとに疲労に応じて重量を変える)と3回3セットRIR2(5回できる重量設定で、セットごとの重量をなるべく変えずに)、トップシングルでは1回RPE8~9(あまり粘らない範囲で)あたりになると思います。
例えば、
Day1トップシングル1回RPE8~9を1~3セット、3回3セットRIR2
Day2 5回5セットRIR1づつ
Day3 ストップスクワット3回4セットRIR3づつ
みたいな形で実施すると、論文で説明されている筋力向上の要件を満たすでしょう。

より具体的な筋力向上期のメニューは別記事を作成する予定になります。
(記事が作成されましたらこちらにURLを貼りますので、今しばらくお待ちください。)

パワーリフティング大会に向けてのピーキング

試技の日程が決まりましたら、大会に向けて重い物が挙がる最高の状態へと仕上げるピーキングを行います。
ピーキングのイメージは、普段よりもトレーニングボリュームを徐々に抑えて(反復回数やセット数を抑える)、代わりに少しずつ高重量を持っていく方式になります。

ピーキング方法は内容のボリュームが多くなりますので別記事にて紹介したいと思います。
(記事が作成されましたらこちらにURLを貼りますので、今しばらくお待ちください。)

まとめ

スクワットを実施するのあたって、まずはいきなり追い込もうとはせずにフォームを習得することに重きを置いてトレーニングをしましょう。
スクワットに基本であるヒップヒンジと腹圧から意識してスクワットに励みましょう。
この際、股関節や足首の柔軟性に問題があると、スクワットの動作に色々と弊害が出てきます。
それぞれに応じたストレッチ種目、アクティベーション種目を実施して徐々に改善していきましょう。

スクワットの基礎がクリアになったら、次に担ぎと踏み圧を意識しましょう。
担ぎのポイントは肩甲骨を下げて肋骨を開かないリブダウン、踏み圧はしゃがみは小指球、立ち上がりは母指球を踏むように意識しましょう。
筋肥大期と筋力向上期を交互に繰り返して、スクワットを停滞なく成長させていきましょう。
筋肥大期は10×3プログラムと同重量でストップスクワット5×3がオススメで、なるべく補強種目を実施して対象筋へのボリュームをしっかりと確保していきましょう。
筋力向上期は補助種目を削り、スクワットのセット数を重視します。
負荷設定は6RM以内(MAX85%以上)の負荷設定が大切で、RIR0ではなくRIR1以上に設定してなるべく粘らずに行います。

是非、このポイントを押さえてスクワットをし、スクワットと仲良くなり強くなりましょう!
段々と強くなって自信がついてきたらパワーリフティング大会への参加も検討してみてはいかがでしょうか?
大会の目標が定まれば、更にモチベーションが高まりトレーニング成果にも繋がるのです。

以上になります!
パワーフィットスタジオZEROでは、他のフィットネスジムよりもフリーウェイトに特化したフィットネスジムであり、トレーニング中級者以上の満足度の高い良いトレーニング環境となるでしょう!
あと、パーソナルトレーニング指導もしておりますので、スクワット、ベンチプレス、デットリフトをしっかりと学びつつ、他のダンベルやマシン種目なども学んでボディメイクもしたい方にもおススメです。

49歳喜多様、5ヶ月間で体重-12kg、体脂肪率-16.2%、ウェスト-25.5cm!
佐々木様、4ヶ月間で劇的ビフォーアフター!そしてボディメイク大会のフィジークへ参戦。

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