京王井の頭線浜田山駅近くにある本格的なフリーウェイト特化型ジム、パワーフィットスタジオZEROの義田です。
今回は「もし私が始めからベンチプレスをするならどう実施するのか?」について解説します。
ベンチプレスを今から始めようとする方はもちろん、既にベンチプレスを実施されている方もオススメの記事となります。
目次
ベンチプレスを始めたら何からやるといい?
ベンチプレス歴はトレーニング歴10年くらい、そのうち競技歴は7年くらいになります。
公式ベスト記録はノーギア部門(リストラップ、トレーニングベルト以外のサポーターなし)93㎏級で180㎏、83㎏級で170㎏となります。
そんな私が、仮に今からベンチプレスを始めるならどのようなプランで実施するのかを時系列に紹介します。
ゲームで例えるなら「既に知識があるという意味での強くてニューゲーム状態」です。
1.ベンチプレス前に簡単なストレッチを行う
ベンチプレス歴7年くらいになりますが、正直ベンチプレスは「肩甲骨位置取りゲーム」です。
それくらい胸椎を伸展させること(胸を張る)が重要な種目なのです。
胸椎を伸展させる目的は可動域を減らすだけでなく、主働筋である大胸筋の伸張反射を活用できまんべんなく力が発揮されます。
胸が高くなることにより可動域が狭くなることを懸念する方は、手幅を狭くして可動域を広くすると良いでしょう。
ベンチプレス初心者は肩と腕でバーベルを挙げてしまいがちですが、大胸筋が使えるようになると一気に扱える重量が伸びていきます。
ですので、胸椎/肩甲骨周りの柔軟性が重要になりますし、胸椎を高く保つためには脚の踏ん張りが重要になるため股関節周りの柔軟性が大切になります。
必ず実施したいストレッチ、ウォームアップ種目
最初からトレーニング前にあれこれとウォームアップしているとやる気が萎えてしまいます。
まずは5分くらいで実施できるウォームアップから取り入れていきましょう。
その後に行うベンチプレスの動作が全然良くなりますよ!
・ベンチ台を使った肩甲骨/胸郭周りのストレッチ
ベンチ台を使ってすぐに実施できる肩、肩甲骨、胸椎周りのストレッチは必ず行いましょう。
(1分間のショートムービーになります)
・フォームローラーを使ったストレッチ
大胸筋、肩のインナーマッスルである小円筋と棘下筋を優先的にほぐしましょう!
(1分間でのショートムービーになります)
↓フォームローラー
ストレッチポールを短くした、筋膜リリース用の取り回しの良いローラーとなります。
やる気が出たら実施したいウォームアップ
ベンチプレス歴がある程度長くなり、扱える重量が伸びてきたらこのウォームアップを取り入れていきましょう。
最初の内は扱える重量が少ないため疲労やダメージが蓄積しにくいですが、重量を持てるようになると一回一回のトレーニングによるダメージが大きくなります。
更に「もっと脚で床を蹴る力を!」などそういった感覚にも目覚めますので股関節周りもウォームアップしていきましょう。
・股関節周りのストレッチ
お尻の筋肉や外旋六筋群のストレッチが股関節周りの可動性を持たせるために有効です。
・フォームローラを使ったストレッチ
フォームローラを用いて前もも、外もも、内もも、お尻、もも裏をほぐしておきましょう!
・トレーニングチューブを使ったウォームアップ種目
トレーニングチューブを用いて背中種目をサクッと行い、背中の筋肉を活性化させて肩甲骨/胸椎の動きを良くしましょう!
↓トレーニング用ゴムチューブ
・マッサージガンや手技でのケア
小胸筋は大胸筋の奥にある筋肉で、ベンチプレス時の肩甲骨を下げる際に作用する筋肉です。
フォームローラーではアプローチできないため、脇の下からマッサージガンや指を差し込みながら腕を回してほぐしていきましょう。
↓オススメのマッサージガン
2.正しいフォームを意識してベンチプレス練習を行う
正しいベンチプレスのフォーム5つのポイントとして
1.肩をすくませずに、首を長く保ちながら顎を引く(肩甲骨の下制、胸椎の伸展)
2.1のために脚を少し頭の方にに引いて踵をしっかりと付けるように踏ん張る
3.バーベルをラックから外して(=ラックアップ)乳首~みぞおちの間(くぼみのある剣状突起あたり)に降ろす
4.バーベルが胸に作り瞬間、とくに脚の踏ん張りを強める
5.肩の鉛直上に挙げる(バーベルの軌道は弧を描くようになる)
追加すると、呼吸はラックアップ前にしっかりと吸ってからバーベルを外し、バーベルを降ろす前に少しだけ息を吐いてからしっかりと息を吸ってから降ろします。
挙上動作が終わるまでは息を止めたまま、肘を伸ばして挙上が終わったら息を吸い直します。
正しいベンチプレスのフォームを短時間でまとめた動画になります↓
3.ベンチプレスのプログラムについて
初心者ならまずは10×3プログラム。
次にマンデルブロトレーニング。
中級者以上ならサイクルトレーニングを取り入れていきましょう。
10×3プログラム
トレーニングを始めたばかりの初心者のはフォーム習得を兼ねて、正しいフォームで10回3セットを無理なく実施できる重量(3セット目で少ししんどいくらい)から始めていきます。
ちなみにメインセット前やメインセットの間は、しっかりとインターバル(休憩)を取っていきます。
インターバル時間は2分以上、重量が扱えるようになったら3~5分間しっかりと休んでも良いでしょう。
そして、毎週+2.5㎏づつ重量を増やしていきます。
継続して重量が重くなると、1セット目で10回、2セット目8回、3セット目7回・・・みたいに減っていくことになるでしょう。
3セットの合計回数が25回以上であれば翌週+2.5㎏の重量を増やします。
先ほどの例では合計25回のため、翌週はさらに+2.5㎏増やしてトレーニングをしていきます。
3セットの合計回数が25回より少ない回数であれば、翌週も同じ重量で実施していきます。
10×3プログラムは筋肥大/筋力が共に向上していくプログラムですので初心者~中級者まで長く楽しめるロングセラーなプログラムとなります。
こちらの記事にて10×3プログラムを詳しく書いています。
停滞(4週間以上、重量や反復回数が伸びない)したら、次に紹介するマンデルブロトレーニングやサイクルトレーニングなどへの移行を考えていきましょう。
マンデルブロトレーニング
マンデルブロトレーニングとは短期間でトレーニングの刺激を変化させ、筋肥大を促すトレーニングプログラムとなります。
マンデルブロトレーニングは初心者~中級者での導入がおススメになります。
低負荷高回数(反復回数15~20回、インターバルは短めの60~90秒くらい)
→中負荷中回数(反復回数8~12回、インターバルは長めの120秒以上)
→高負荷低回数(反復回数3~6回、インターバルは長めの120秒以上)
→低負荷高回数へ移行・・・
とそれぞれのフェイズごとに刺激を変えて、トレーニングの刺激のマンネリ化を防いでいくトレーニングプログラムになります。
各フェイズはおおむね2~4週間ぐらいを目安に設定していきます。
マンデルブロトレーニングはとくに筋肥大に向いたトレーニングプログラムとなります。
マンデルブロトレーニングのデメリットとしては、トレーニングプログラム管理が複雑で導入が難しいこと。
また、刺激を短期間で変化させていくというコンセプトなので、各フェイズの自己ベスト重量更新(レップPR)=筋力向上は難しくなるでしょう。
サイクルトレーニング
中級者以上になると扱える重量が増えていくため、毎回限界まで追い込むと怪我や停滞のリスクが高まってきます。
また、中級者以上になると身体的/技術的な成長速度は著しく遅くなります。
増量期でない限り、毎トレーニングで自己ベスト更新し続けるのは無理があるので、例えば30~45日に1回ピークを持っていき自己ベスト更新して成長していく方法があります。
サイクルトレーニングとはそんな方法に適したトレーニングプログラムとなり、特に筋力向上に有効なトレーニングプログラムとなります。
例として、
今までのベンチプレスの自己ベストが100㎏8回だとします。
4週間後に102.5㎏8回挙上を目標に、毎週+7.5kg刻みでサイクルトレーニングを組みます。
4週目:102.5㎏8回2セット、(メモリーセット110㎏4回)
3週目:95㎏8回2セット、メモリーセット102.5㎏4回
2週目:87.5㎏8回2セット、メモリーセット95㎏4回
1週目:80㎏8回2セット、メモリーセット87.5㎏4回
となります。
4週目で102.5㎏8回を1セットでも達成したら、次サイクルトレーニングの4週目で+2.5㎏増やした105㎏8回になるようにプログラムを組みます。
4週間ごとに+2.5㎏づつ更新していく形になります。
サイクルトレーニングの1週目2週目はかなり軽くて余裕があります。
フォームをより丁寧にすることはもちろんですが。
マンデルブロトレーニングの特徴である刺激の変化も考慮すると、この1~2週目はボトムストップ(バーベルを胸に付けて1秒くらいキープしてから挙上する)で実施すると良いでしょう。
こうすることでTUT(動作時の筋肉緊張時間:タイムアンダーテンション)が長くなり、低負荷高回数同等の刺激を入れることができます。
また、ベンチプレスの補強種目(とくにディップスやオーバーヘッドプレス、トライセプスエクステションなど。懸垂などの引く種目はガンガン実施しても構いません。)はサイクルトレーニング1~2週目は多く実施、3~4週目は補強トレーニングを少なくするか実施しないのがおススメです。
筆者の好みとして、サイクルトレーニング1~2週目の補強種目はそれぞれ3セット実施し、サイクルトレーニング3~4週目は重量を変えずに1~2セットだけ実施するようにしています。
サイクルトレーニングの秘訣は、軽い時期であるサイクルトレーニング1~2週目を我慢できるかです(笑)
私も最初は「こんな軽くて筋肉が衰えないか?」心配でしたが、きちんとサイクルトレーニング通りにトレーニングを実施したら、1ヶ月ごとに+2.5kgづつ自己ベストを更新できました!
これは素晴らしいことです、サイクルトレーニングありがたやありがたや!
4.ベンチプレス後の補強種目
ベンチプレスを強くするオススメ補助種目は、
1位ディップス
2位懸垂(ラットプルダウン)、ワンハンドラットプルダウン
3位バックエクステンション
4位オーバーヘッドプレス
5位トライセプスエクステション
になります。
1位:ディップス
ディップスを鍛えることによるメリットは、ベンチプレスに必要な上腕三頭筋、大胸筋下部が鍛えられるだけはありません!
肘を伸ばしたときに、肩を下げる意識で行えば肩甲骨を下制させる筋肉も鍛えることができ、ベンチプレスのブリッジ強化にも繋がる素晴らしい種目です!
筆者が最優先して実施する補助種目となります。
ディップス動作はやや前傾姿勢で、降ろしの時に胸で向かいにいくようなイメージで実施します。
まずは自体重10回できることを目指していきましょう。
(自体重の負荷が強すぎる場合は、ゴムバンドなどでアシストして鍛えましょう)
その次はベンチプレス重量=ディップス総重量を目指していきます。
例えば、体重80㎏の人でベンチプレス90㎏10回できるとするならば、+10㎏荷重(総重量90㎏)で10回ディップスできることを目指していきます。
それをクリアしたらそのまま荷重重量を増やしていき、それと同時にベンチプレスの挙上重量も伸びていくことでしょう!
2位:懸垂(ラットプルダウン)/ワンハンドラットプルダウン
背中のトレーニングで優先順位が高いのは、上方向から引っ張るラットプルダウンか懸垂がおススメです。
理由としては肩甲骨下制(肩を下げる)、内転(背中を寄せる)の両方を鍛えることができるためです。
左右差改善のために、片方づつ実施するワンハンドラットプルダウンも取り入れていけると理想的です。
ベンチプレスの左右差の原因は肩甲骨位置差によるものが大半ですので、ワンハンド種目を左右差改善種目としてオススメします。
・懸垂(ラットプルダウンも同様のイメージです)
・ワンハンドラットプルダウン
3位:バックエクステンション
日常生活では丸まる姿勢が多く、トレーニングでは反る姿勢を要求されます。
いざ、ベンチプレスのブリッジを組むときに思ったよりも身体を反れなくて不自由すると思います。
バックエクステンション(エビ反り運動)を実施して、裏もも、お尻、腰、背中を鍛えて反る能力を強化していきましょう。
10~15回を3セット実施しましょう。
4位:オーバーヘッドプレス
肩の定番種目であるバーベルショルダープレスに、肘を伸ばした際に上体を前に突き出してバーベルの下に上体を入れる動作を入れることで前鋸筋や背中の筋肉に刺激を入れることができます。
バーベルショルダープレスよりも比較的軽い重量で実施すると良いでしょう。
10回くらいを無理なくできる重量設定で3セット実施していきましょう。
5位:トライセプスエクステンション
トライセプスエクステンション種目の中で最も伸張性刺激の強いライイングトライセプスエクステンションをオススメします。
上腕三頭筋を鍛えるだけでなく、振りかぶる動作も入れてプルオーバー動作も実施すれば胸椎/肩甲骨の柔軟にもなり、ブリッジ強化にも繋がるのです。
RPE8.0(あと2回くらい余裕がある状態)で無理なく10回3セットできる負荷で実施していきましょう。
5.トレーニング後のケア
トレーニング前に実施したものと同様に、フォームローラーなどを使って大胸筋/小円筋/棘下筋あたりをほぐし、マッサージガンや手技にて小胸筋をほぐしましょう。
・フォームローラーを使った上半身のストレッチ
・小胸筋のケア
まとめ
ベンチプレスを始めるにあたって
・ベンチプレス前に5分くらいで実施できるストレッチやウォームアップを行う。
・正しいフォームとして肩を下げる、少し脚を引いて踵で踏ん張るように脚を踏ん張るなどを意識して実施する。
・トレーニングプログラムとして初心者は10×3プログラム、中級者以上はマンデルブロトレーニングとサイクルトレーニングを取り入れていきましょう。
・ベンチプレスの補助種目のおススメは、ディップス、懸垂/ラットプルダウン/ワンハンドラットプルダウン、バックエクステンション、オーバーヘッドプレス、トライセプスエクステンションを優先的に実施していきましょう。
ローマは一日にして成らず、あきらめずにコツコツと努力することも重要になりますので、無理せずに楽しみながらベンチプレストレーニングしていきましょう!
以上になります!
引き続き当ブログを読んで知識を付けて、効率良くトレーニングライフを楽しみましょう!
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